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2002年6月25日発売の雑誌「AERA」に掲載された記事をご覧頂けます。

CANDELA初CD「Mogami」レビュー
ラテン&ジャズフレ−バ−の軽やかなグルーブにゆらぎと風合いのある尺八の音色がマッチ。 ほかにもホルンからパンデロまで多彩な音色が使われている。 『最上川舟歌』などの日本のメロデイーが不思議な程瑞々しい。 衣食住でトレンドの ”和風モダン”にも通じるセンスを感じさせ、リラックスできる一枚。
(山本美芽)アドリブ 2002年6月
カンデラは尺八をフィーチャーした異色の編成。 曲も「南部牛追歌」など民謡も取り上げている。 ホルンもよい色合を添えている。 最後に演奏される唱歌「ふるさと」がとても心にしみる。
スイングジャーナル 2002年6月
尺八が要のアンサンブルから”現代”が響く。 メンバーの自作品が気の利いた編曲と闊達なプレイではえる。 尺八の自在なアドリブには舌を巻く。
(悠雅彦)CD ジャーナル(2002年5月)
尺八とジャズが出会って誕生した真のコンテンポラリーミュージック。 Candelaは羽ばたこうとしている。 絶品の和洋折衷!
CD ジャーナルアーテイストインタビュー(2002年6月)
ラテンフレーバーとジャパネスク、そしてジャズと見事に融合したサウンドを聴かせる冒頭の「モガミ」、引き締まったベースのボーイングで始まる「オセロ」など、全編でクオリテイの高い、多彩なサウンドを楽しめる。
(神崎一雄)Stereo 2002年6月
ハイブリッドな編成がユニークなジャズアルバム。 オーデイオソースとしても一級品で、意外な楽器の登場がフレッシュ。 収録はワイドレンジで各楽器の音色を余す所なく盛り込んだクリーンなパターンで、音場感も透明感があり、淀みがない。
(斉藤宏つぐ)Stereo 2002年6月
カンデラについてのJapan Times, July 18, 2004の記事

http://www.jjazz.net/ Weekly Review
"Live at Blues Alley"
Apr 8, 2003

Candela(カンデラ)はジャズをルーツとしながらも、その枝を伸ばしてラテン、ワールドミュージック、エスニックのリズムや曲調、構成を取り入れている。斬新なビジョンはあらゆるものを取り込み、独創性あふれるサウンドが人を引き付ける。彼らが取り入れるさまざまな要素は、有機的にさりげなく合流。東京在住歴の長い外国人4人とジャズドラマー平山で結成。その独特のサウンドの融合は、個々の音楽性を反映している。すでにアルバム1作品(「Mogami」)をリリース、日本全国をツアーしている。雨が降る先週のある晩、歓迎ムードの観客を前に、candelaはユニークな音楽的融合に突撃していった。

Candelaについて一番異色な点は尺八だ。ブル−ス・ヒユーバナーは、厳格な師弟関係のある伝統校の昔ながらのやり法で、この日本の楽器を習得。しかし学べば学ぶほど、彼は尺八の音色がジャズという環境に置き換えられるのではないか、という思いを強くしていった。これが正解で、すばらしい結果を生み出した。尺八の音色には、荒々しいリズムで自己主張するジャズとは対照的な清冽さがある。先週の火曜日、ヒユーバナーはその繊細さを、融合によって損なわせるようなことはしなかった。前面に押し出されて力強いプレーを展開し、他の楽器の間でその気品漂う音色が冴え渡る。尺八は、インプロビゼーションには簡単な楽器ではないのだが、その取り組みはフルートやサックスとはまったく異なるラインを誕生させた。

ヒユーバナーの尺八、ジョナサン・カッツのフレンチホルン、ロバート・ベルグラードのベースクラリネットが並ぶことで、メロディーの魅力はますますアップ。尺八のすがすがしい音色と荒々しいベースクラリネット、または洗練された豊かなフレンチホルンを組み合わせることで生み出される緊張感は、メロディーラインの魅力を失わせない。フロントラインのプレイヤーたちは、独創性の高い自分のリードであれ、バンドが編曲したトラディショナルなメロディーであれ、肩の力の抜けた余裕を感じさせる。曲作りでは、日本古来の楽曲の流麗な高音とジャズのよりディープなリズムをかけ合わせ、興味深い新たなセクションにフレーズが出たり入ったりを繰り返している。

サウンドをさらに魅力的にしていたのは、ラテンとワールドミュージックのリズムの融合。平山はジャズのビートを刻むだけにとどまらず複雑さを与え、それがセクションセクションの異なるムードをスムーズに移行している。当バンド歴代ドラマーである斎藤純、トミー・キャンベルの2人がそれぞれ1曲ずつ飛び入り参加。セカンドセットのお祭り気分を演出した。ベルグラードは曲調のバラエティーを広げるため、違うパーカッションの楽器を使用。どの曲でもラテン、インド調、フォーク、ジャズのサウンドが次々に飛び出してくる。カッツとトウーリアンは、大半をストレートアヘッドジャズに負うところの大きい多彩なハーモニーを繰り出す。二人とも都内で数多くのジャズグループでピアノとベースを弾いているが(カッツはピアノトリオの名盤まで出している)、饒舌なハーモニーとカウンターポイントで、全体のサウンドにさらに深みを出した。

Candelaを一聴しただけでは、安易に耳に美しいメロディーと、軽妙なニュアンスの曲調という印象しか残らないかもしれない。しかし、ライブを聞いたが最後、多彩なコントラストや緊張感、実験的な融合が見事かつ独創的に浮かび上がってくる。必聴のグループ。

(翻訳:梅田実代)



SHAKUHACHI, 多彩な音のパレットの主役
朝日新聞英字版(International Herald Tribune紙) 2002年2月28日 ポール ベイリス
ジャズと言われて、どの楽器を連想するだろう? まずはトランペット。ベース、サックス、ドラム、そしてもちろんピアノ。まさか尺八?この日本の伝統吹奏楽器は、渾沌とした或いは、刷新さもなくば滅びよ、というジャズの世界というより禅の瞑想や、侍映画を連想させる。しかし、このシンプルで独特の音色の楽器をとりあげ、才能豊かなジャズミュージシヤンで周りを固め、少なくとも誰も予想すらしなかった試みに挑戦しているのがCANDELA=東京をベースに活動している5人のエクレクティック・ジャズ・グル−プである。
「伝統的な手法を用いながら、尺八に新しいボキヤブラリーを加え、何か新しいジャズを模索しているんだ」と、メンバーのブルース・ヒユーバナーは言う。彼は、外国人として、初めて東京芸術大学の邦楽科を卒業している。「よく、難しいでしょう、と言われるけどかえってそのハンデイが独自の音を生み出すこともある」と続ける。
尺八は竹の根の部分から作られる、5音音階に調律された、角度のある歌口を持つ縦笛である。演奏者が息のあたる角度を変えることで、ピッチをコントロールし、同時に強弱(陰影)と音色を決める。伝統的な尺八音楽は、夏の雨、秋の風、山の湖沼など自然の声を描写する。六世紀にインド、中国を経て日本に伝わり、十三世紀に入ると普化宗の僧達が読経の代りに尺八を吹き吸禅とした。江戸時代には(1603〜1867)時が経つにつれ、いわゆる浪人たちが、虚無僧の中に増え、偽の文書を作り、独占的に托鉢活動や尺八を吹くことを始めた。伝説のひとつによると、帯刀を禁じられた浪人が、尺八を長く厚く改造し武器としたとも言う。
そうしてみると、CANDELAが単純でありながら多芸多才な尺八を刷新させた先駆者ではなさそうだ。CANDELAは、二年前にヒユーバナーとピアニストでフレンチホルン奏者のジョナサン・カッツ(自身のピアノトリオで既に3枚のCDを録音)で、始まった。程なくマルチ・インストロメンタリストの(パーカション、サックス、ベ−スクラリネット)ロベルト・ベオグラ−ドが、参加する。彼は又同じく東京を拠点に活動しているタトパニのメンバーでもある。さらにニューヨークのベテラン・ダブルべーシスト、マーク・トウリアンとドラムスのジユン・バグ・サイトウ(ボストンに11年在住)を迎え完成する。「僕らの強みはなんといっても多様性だ」カッツは言う。「たった5人だけど驚くべき数の音のパレット」と。「もともとCANDELAはラテンジャズの色合いが強かったが、次第に各々のメンバーの影響を受けて、色々な実験をしている。」少しずつ、でも確実に僕たちの色合いが出てきて当初とは、異った方向に来た”とカッツは言う。
CANDELAの初CDのタイトル・チユーン、『MOGAMI』(山形県民謡最上川舟歌)は、その力量を証明している。お馴染みの節ではじまりながら、突然あっと驚くラテンのリズムに乗せられている。尺八は2曲を除いて、すべての曲で登場している。最も苦心するところは、この内面的でもある楽器が、自己主張の強いジャズの音の中でいかに適応していくかだ。「尺八はたった五つの穴があるだけで、指で半分だけ穴を明けたり、首の角度で音程をきめなくては」とヒユーバナーは言う。「彼はフルートの音に近づけようとしている訳ではなくて、尺八の本来持っている面白さ、美しさ、サウンドイフエクトを生かそうとしているんだ」と、カッツは加える。
CD『MOGAMI』は、アップビ−トなラテンのリズムから、ゆったりした、ラウンジ音楽、民謡、夢のような中近東のサウンドまで、広範囲で、例えば「ドリ−ミング」は、仏教音楽、西洋室内楽、アフリカ、中近東のリズムの融合である。 又、学校で親しんだ 「ふるさと」は尺八とソプラノサックスのソロが僕のアレンジのピアノとあいまって、きれいな曲とカッツは語る。彼の吹くホルンも尺八と同じくジャズでは、めったに使われることのない、チャレンジである。
しかしながら、なんといってもCANDELAをCANDELAたらしめているのは、尺八であろう。最近学校公演にも呼ばれることの多い、CANDELAが、皮肉にもこの楽器の可能性を紹介している。
「僕は、皆にもっとこの楽器で素晴らしい音楽ができるっていうことを知ってもらいたいと思う。でもそれは日本の楽器だからと言う理由じゃなくて、いい音だからというだけのこと」とブルースは、念を押した。
訳:小笠原 萌子



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